コラム

ロープアーティストHajime Kinokoさんの作品展『Perfect Red Hajime Kinoko展』に行ってきた!

とある師走の雨の日、世界に誇るロープアーティストであるHajime Kinokoさんの個展を拝見しに参りました。

お名前や作品はよく存じ上げていたのですが、実際に作品を拝見するのは初めて。エロスを越えた緊縛の世界にとても大きな感銘を受けましたのでレポをさせていただきます。

Hajime Kinokoさんとは

 

View this post on Instagram

 

Hajime Kinokoさん(@kinoko_shibari)がシェアした投稿

生成り縄による「和の緊縛」、赤縄を使った「アートロープ」、光る縄で魅せる「サイバーロープ」といった表現を主軸に、様々な種類の縄を使った緊縛で知られる。

縛りをエロスと捉えるだけでなく、ポップな解釈やアートへの昇華も得意とし、特に自然(木や岩など)や空間までも縛るユニークな作品性は評価されている。近年はパフォーマンス以外に、写真や映像によるアートワークも精力的に発表。縛りと撮影、演出のすべてを手がける。

また国内のみならず、パリ、ロンドン、ミュンヘンなど20以上の主要都市で公演やワークショップを行っており、海外での認知度も高い。日本を代表する縄のスペシャリスト。(オフィシャルHPより抜粋)

Hajime Kinokoさんは、日本発の世界に誇るロープアーティスト。緊縛=エロスという概念を壊す芸術性の高い縛りが特徴で、縄を通じてあらゆる「つながり」を感じさせる作品群は非常に印象的です。

インスタレーション・アート・サイバー・古典の4つのレーベルを主軸として活動をなさっていて、今回の個展はその中でも「アート」を主軸に「インスタレーション」の要素が絶妙にブレンドされた作品を多く見受けました。

【Perfect Red展】に行ってみた!

今回の作品展の名は「Perfect Red Hajime Kinoko展」。これはHajime Kinokoさんの最新作写真集である「Perfect Red」の発売に伴ない開催された個展であり、「つながり」をシリーズのテーマとして据えているものになります。

開催場所は渋谷ルデコ(LEDECO)。JR渋谷の新南口から徒歩5分程度のビルで、12/17~23日の1週間に渡り開催されていました。

中に一歩入ると空間全体に赤い縄が張り巡らされ、まるで空間そのものが1つの作品のように感じさせられます。作品の数は50点数ほど展示され、どの作品も「赤い縄」が使われているテーマ性の高いものとなっています。

展示されている作品の中には、全体をガッシリと縛られたものから、目隠し程度に1本のみの縄が縛られたものまで非常に幅広いです。男性に女性、日本人に外国人、ロングヘアーに短髪、細身の方から巨漢の方まで、モデルさんのタイプも実にバリエーション豊かです。

そして私がどの作品にも感じられたのは「自然さ」。まるで公園の花に偶然蝶々が止まったかのような、「縄の中に人間がいることの自然さ」に感銘を受けました。縛られている、ではなく、包まれている、という感覚の方が近いかもしれません。来場された方の中には「縛りと言うより、纏っているという感じだね」と仰っている方もいらして、個人の感想の抱き方は違うなれど確かにそのご感想も頷けるものがあります。

作品展は壁や天井の「白さ」の中に、張り巡らされた縄の「赤さ」が強く映えていることが印象的でしたが、それは展示されている写真にも全く同じことが言えます。幼子の心のような純白の背景の中に差し込む真っ赤な縄は、「滴る血」と共に「赤い糸」という運命の繋がりを連想させます。

何度かネット上でHajime Kinokoさんの作品は拝見していましたが、その時に感じた「つながり」と言えば、

  • 自分 と 他人
  • 自己の内面 と 他者や世間
  • 自分の心 と 相手の心 の結びつき
  • 個人 と (その他)の世界、大衆
  • マイノリティ と マジョリティ

のような、相対的な関係性を彷彿とさせるものでした。ですが今回直接多くの作品を拝見して、新しい「つながり」の形に触れることができたのです。それは「自分の肉体や思考の中で生まれて収束するつながり」です。

  • 記憶や経験の「つながり」で生まれるひらめき
  • 感情と肉体の「つながり」で感じる痛みや不安や期待
  • 外的刺激を感じる五感と、その五感を脳に伝える肉体組織として「つながり」
  • 勇気や親切や嫉妬など、他者の存在に依存する理想と体裁(現実)「つながり」
  • そして、自分の中に渦巻くあらゆる感情同士の「つながり」による心の在り方、その答えの無さ。

人は生まれてから死ぬまで、母の体から生まれ落ちたその瞬間から、一人なのである。そしてその「一人の体の中でのあらゆるシナプスや肉体のつながり」があるからこそ、「他者とのつながりを手に入れる」結果に繋がるのだと……そのような感想を抱きながら拝見させていただきました。

 

View this post on Instagram

 

ris hongsikさん(@risunobody)がシェアした投稿

そして今回の個展では裸体の女性、もしくは裸体に準ずる女性のモデルさんの作品がとても多く見受けられましたが、それらに対して(自分が同性だからというのも少なからずあるかもしれませんが)いわゆる「エロい」「キワドい」「キモチヨさそう」などのような性的快楽感に基づく印象はほとんど受けることはありませんでした。これは、意外でした。

ですがそれは、Hajime Kinokoさんの「アート性を象るファクターとしてのエロス」という作品色を前提とした上で、「つながり」というテーマ性に基づいた作品群と考えれば、ある種自然なことなのかもしれません。

心、感情、思想、期待や不安、感覚、確信、自己、大衆、世間、概念としての個人や他人……それら「見えないもの」との「つながり」と求めたり、その「つながり」によって苦しんだりすることにおいて、「魂の器としての人体」以外は余計なものなのかもしれませんから。あくまで人体は「内面の最も外側の部分である」ことを強く感じさせられました。

こうなると、縄の赤さが実に映えてくるのです。魂の器としての人体、そしてその人体を人体足らしめるのに必要不可欠である血液。無論、必然的に赤い縄は血液を連想させます。血という物質的なつながりが結ぶ、目に見えないもの同士のつながり。そこで気付く、人の感情は、あくまで血や脳や細胞伝達などの物質の賜物でしかないということ……

 

View this post on Instagram

 

相沢梨紗 Risa Aizawaさん(@risacheeese)がシェアした投稿

本当の「人と人のつながり」とは何か?

それらを深く考えさせられ、自らの価値観とも向き合う素晴らしい機会となりました。

自分の答えは、自分の中でしか見つけられないからね。

Hajime Kinokoさんにお会いしてきた!

この日はHajime Kinokoさんご在廊。実はデパートメントHで過去に拝見したことはあるのですが、直接お話をさせていただくのは初めてでした。とても暖かく、目を見てお話をなさる方。静かめな空間なので他の方とお話なさるのも聞こえるのですが、懐の広さを感じさせる大人の男性でした。(*-w-)

最新作写真集であり、今回の展示も数多く掲載された「Perfect Red」を購入(8,000円)。そして当日購入者特典で、サインだけではなく「手縛りの緊縛キューピー人形」or「緊縛体験&チェキ」を選べます。私は迷うことなく後者を選択。そりゃ縛られてえよ。

Hajime Kinokoさんの縄は、誇張無しで「抱きしめられているような縄」でした。縛られているというゾクゾク感よりも恋に似たドキドキを感じ、人知れず薄く息が漏れてしまいました。最近恋らしい恋をしていないので、あのトキメキはちょっと久しぶりの感覚でした。笑

それほどまでに、相手との「つながり」を感じながら縛られるHajime Kinokoさん。次回の作品展やイベントのスケジュールはオフィシャルHPでチェックしておきましょう

まとめ~「つながり」で、生かされる~

今回はロープアーティストのHajime Kinokoさんの作品展のレポをご紹介しました。

人は生まれ落ちた時から、物質的には必ず一人(個)である。けれども、人は一人では生きられないので「つながり」を求める。その「つながり」に助けられ、時には苦しめられ、そして生かされる。……

家族も、恋人も、友情も、SMも、全ては人と人の心のつながりの賜物。目に見えるものが繋げる、目に見えないもの。あなたは今、誰と、何との繋がりを感じながら生き、喜び、苦しみ、そして助けられているでしょうか。

 

View this post on Instagram

 

相沢梨紗 Risa Aizawaさん(@risacheeese)がシェアした投稿

今の自分を構成する全てのつながりへの感謝と、それらと向き合う勇気や優しさ。自分の中の多くの感覚や感情と対峙できた個展でした。行って良かった!

今回の作品展の開催日程は終了しましたが、ぜひ次回の機会にでもHajime Kinokoさんの作品に触れてみてくださいね。あなたの心の中の素敵な気付きと巡り会えるでしょう。